よくある認識のズレ
http://anond.hatelabo.jp/20131003212934
このポストは人月商売しているSI'er的営業やSEが学ばなければならない大事な要素がたくさん含まれている。
詳細はまず読んで貰った方がいいんだけれども、よく表しているのがこの文章(本文から引用)
その営業の上司から電話がかかってきて、資料を作るには工数(費用)が必要で、それにはまず契約が必要だ、みたいなことを言ってきやがった。
だーかーらー、その契約のための資料を出せっていってんだよ、何にいくらかかるかわかんねー状態で契約とかありえねーんだよ、っていってやったら、「いやいやですから、設計資料を作るとなると人が動くのでその分の費用は・・・」みたいになって平行線状態。
SI'erにしたら、「営業の上司の気持ち、わーかーるー」だけど、買い物をするときの常識で考えると、詳しい情報が欲しいって言うのは至極全う、当たり前のことだ。
ところが、人月商売、つまり人売りをしているIT業界では、資料作るのに金がかかるのは当たり前の話でしょ?って考えられている。だから、資料一枚作るのにも金がかかるんですよ、ってのを平気で言う。
じゃあ、なぜSI'erは「資料作るのにも金くれ」って平気で言うんだろうか。その辺りに少し触れてみたいと思う。
販管費という考え方がない
受注型のオーダーメードでシステムを作る商売をしていて、販売にかけるお金がない企業や組織にありがちだ。
要はお客様に提案活動をするにも、優秀なSEを巻き込んで動かすだけの提案活動費が捻出できないので、提案内容は曖昧なものになるし、見積もりも適当なものになる。
下手をしたら営業が開発に相談せずに勝手に作ったスケジュールや、見積もりを勝手に提示して格安で受注して、ふたを開けてみたらスケジュールもタイトだし、要件も曖昧だしで炎上。
最終的には土下座開発でお客様がしょうがねえなあって、不満を持ったまま使いにくいシステムを我慢して使うか、遅延に次ぐ遅延で納期が遅れまくるかのどっちかだ。
営業と開発のパワーバランスがおかしい
開発が強すぎる場合に大体おかしくなる。
「原価を算出する時間なんてない」、「まーた営業がくそダル提案言ってやがんぜ」、「今動いてる案件で精一杯だろうが」的思考が蔓延していると、案件を増やしたくないっていう本音を押し隠そうとはしないので、クソ高い見積もりを出すか、「要件が明確じゃないから」とか理由をつけて、クソ適当な見積もりを出す。
決め台詞は「これ以上は費用が」。
「これ以上は費用が」って強面の開発部長に言われた気弱な営業はどうするかって言うと、お客さんに「これ以上は費用が・・・」と気弱に伝えるしかなくなる。
「これ以上は費用が・・・」と気弱に伝えられたお客様は「まだ買うって言ってねえよ!」とブチギレるのは確定コンボなので、それを社内に持ち帰った営業は・・・っていうバッドサイクルに入る。
安かろう悪かろうはありがち
他にも色々あるんだけど、こんな感じの事情がSI'erの社内で繰り広げられていたりするので、お客様事情といよりは社内事情を優先するような顧客対応になってしまいがちなのだ。
そんな社内優位の組織だったり業界だったりするので、多くの営業やSEが社内しか見ずにお客さんの納得感を満たそうとしない。結果、ぶっちぎりで失注したり、遺恨を残したままギンギンにトラブったりしている。
そういう組織には「炎上した方がコストがかかる」っていう考え方がなかったり、浸透していなかったりするので、開発中に平気で遅延させたり言い訳したりする。だから、発注した結果、満足のいくものを得られなかったり、欲しいときに手に入らなかったりするので、避けた方がいいとおもう。なかなかSEに会えないシステム屋は要注意だ。
見積もりの中の見えないお金
逆に、システムの要件ヒアリングによくやってくれそうなSEを連れてきて、ちゃんと要件の抽出をするような会社は少々高くても採用候補としていいと思う。
ヒアリングに来ているSEがどういう立場でプロジェクトに関わるかを確認しておくのも忘れないほうがいい。瑕疵担保期間の考え方や、瑕疵担保の範囲も確認しておかないと、高いお金を払って大損をぶっこくことになってしまう。
あるいは、現時点で考えられるリスク、リスク発生時のコスト、そういうのをしっかりと尋ねることでも、優秀なヤツが来てるかどうかわかる。
「現時点では要件が確定していないので」と、答えから逃げたりはぐらかしたりするヤツはダメ。
「正確な算出ではないですが」とか、「状況によってかわることもありますが」とか、「一般的には」とか前置きをしつつも、具体的なことを答えるようなヤツが入るプロジェクトはうまくいくと言っていい。
というように、一見高く見える見積もりでも、明細に書けないお金を含めている会社もあったりする。
「明細は出せない」と言ってくるのであれば、「どこまで担保されるの?」てなことを口頭ででもいいからちゃんと聞いて、議事録に残しておくことが重要だ。
プロジェクトがうまく行く事は、発注する側の心的ストレスっていう莫大なコストを低減する事にも繋がる。数字の羅列だけでは語れないコストが、一番重かったりする。
そして、発注する側も理解した上で交渉をかけると、システム屋側の見極めも出来るし、発注後もトラブルが少なくなると思う。
何より価格交渉の武器になるので、知っておくと役に立つ日がくるかもね。
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